もともと歴史の古い老舗料理店に興味がありまして。
創業100年以上なんて聞くと、もう行かずにはいられないわけです。100年以上もお店を続けるって並大抵のことじゃないと思います。ちなみに、明治時代付近に創業したお店には数軒足を運んだのですが、ここでふと疑問が。
「一番歴史の古い老舗料理店って、どこだろう?」
「日本最古」となると、どこ(何県)にある、何料理のお店なのか見当もつかず、また、気軽にお店に行くことは出来そうもないので、まずは自分で行ける範囲内(=東京都内)で調べてみよう!と思いました。
早速、東京都内の老舗店を調べてみると、なんと!創業300年以上のお店まであるではないですか。
すごいですよね、300年以上も続いているなんて。
いつの時代のお店だよ?!って感じです。
…すると、今度は歴史の話になってきちゃいまして…
そのお店が開店したとき、世の中ではなにが起きていたんだろう?
創業300年以上なんて時代が古すぎて、その時起きていた出来事と照らし合わせてみないと、どうもピンと来ない…というか実感がわかないんです。そもそも「元号」なんて明治以前はほとんど覚えていませんし。
今回、年表を作ってみて「こんなに(元号って)あったんだ~」と、かなり驚きました。きっと学校で習ったはずですが、記憶の彼方で覚えていない元号も多数…w
お店には順次行ってご紹介していくとして、まずは年表と老舗料理店のリスト(=次どこに行くかリストですね。)を、その時代の出来事と共にざっくりとまとめてみました。
老舗料理店(と近辺の出来事)に興味のある方は、ぜひ年表と見比べながら「へー」とか「ほぅ~」とかうなづきながら、お店にも行ってみてください。
ええ、私ももちろん行ってみたいと思います!
【一覧】創業350年以上も!慶安~昭和までの東京都内 老舗料理店
年代/西暦(元号) | 店名・できごと(江戸時代~) | |
1600年代 | 元和 げんな 1615年-1624年 |
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寛永 かんえい 1624年-1645年 |
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正保 しょうほう 1645年-1648年 |
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慶安 けいあん 1648年-1652年 |
「王子扇屋」創業370年(1648年/慶安1年) 【王子】一子相伝の釜焼玉子、店頭販売 ※慶安3年には柳生十兵衛、慶安4年には3代将軍 徳川家光が亡くなっています。 |
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承応 じょうおう 1652年-1655年 |
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明暦 めいれき 1655年-1658年 |
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万治 まんじ 1658年-1661年 |
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寛文 かんぶん 1661年-1673年 |
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延宝 えんぽう 1673年-1681年 |
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天和 てんな 1681年-1684年 |
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貞享 じょうきょう 1684年-1688年 |
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元禄 げんろく 1688年-1704年 |
「笹乃雪」創業327年(1691年/元禄4年) 【根岸】豆富料理・とうふ茶漬
「笹巻けぬきすし総本店」創業312年(1702年/元禄15年) ※元禄14年、浅野内匠頭が刃傷事件、翌15年に赤穂浪士が吉良邸に討ち入り。(忠臣蔵より) |
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1700年代 | 宝永 ほうえい 1704年-1711年 |
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正徳 しょうとく 1711年-1716年 |
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享保 きょうほう 1716年-1736年 |
「もゝんじや」創業300年(1718年/享保3年) 【両国】山くじら(猪肉)料理、すき焼き ※享保元年には徳川吉宗が徳川幕府8代将軍となり、享保13年には天才発明家として有名な平賀源内が誕生しました。 |
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元文 げんぶん 1736年-1741年 |
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寛保 かんぽう 1741年-1744年 |
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延享 えんきょう 1744年-1748年 |
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寛延 かんえん 1748年-1751年 |
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宝暦 ほうれき 1751年-1764年 |
「玉ひで」創業258年(1760年/宝暦10年) 【人形町】鳥料理店(親子丼) ※宝暦11年には、9代将軍 徳川家重が亡くなっています。 |
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明和 めいわ 1764年-1772年 |
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安永 あんえい 1772年-1781年 |
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天明 てんめい 1781年-1789年 |
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寛政 かんせい 1789年-1801年 |
「大江戸」創業218年(1800年/寛政12年) 【東銀座】うなぎ・割烹(うな重) ※寛政12年は伊能忠敬が蝦夷地を初めて測量した年です。 |
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1800年代 | 享和 きょうわ 1801年-1804年 |
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文化 ぶんか 1804年-1818年 |
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文政 ぶんせい 1818年-1831年 |
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天保 てんぽう 1831年-1845年 |
「甘味処 初音」創業181年(1837年/天保8年) 【水天宮前】甘味処(杏あんみつ) ※天保8年は、大塩平八郎の乱(江戸幕府への反乱事件)が起きました。 |
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弘化 こうか 1845年-1848年 |
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嘉永 かえい 1848年-1855年 |
「割烹 嶋村」創業168年(1850年/嘉永3年) 【日本橋】日本料理、小料理屋 ※嘉永7年には、日米和親条約が締結されました。 |
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安政 あんせい 1855年-1860年 |
「鍵屋」創業162年(1856年/安政3年) 【鶯谷】酒屋→居酒屋(1949年/昭和24年~業態変更)
「立会川 吉田家」創業162年(1856年/安政3年) ※安政3年8月に安政八戸沖地震が発生し、その約1ヶ月後に北海道駒ヶ岳が噴火しました。 |
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万延 まんえん 1860年-1861年 |
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文久 ぶんきゅう 1861年-1864年 |
「日本橋 とよだ」創業155年(1863年/文久3年) 【日本橋】日本料理・割烹 ※文久2年には生麦事件、翌年 文久3年には、薩英戦争が起きました。 |
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元治 げんじ 1864年-1865年 |
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慶応 けいおう 1865年-1868年 |
「竹葉亭」創業152年(1866年/慶応2年) 【東銀座】うなぎ店(うな重、鯛めし) ※慶応2年 五稜郭が完成、慶応3年「ええじゃないか」、慶応4年に戊辰戦争が起こりました。 |
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明治 めいじ 1868年-1912年 |
「室町砂場」創業149年(1869年/明治2年) 【神田】そば屋(ざるそば、もりそば)
「伊勢重」創業149年(1869年/明治2年) 「あひ鴨一品 鳥安」創業146年(1872年/明治5年) 「浅草田甫 草津亭」創業146年(1872年/明治5年) 「精養軒」創業146年(1872年/明治5年) 「韻松亭」創業143年(1875年/明治8年) 「二葉鮨」創業141年(1877年/明治10年) 「ちんや」創業138年(1880年/明治13年) 「銀座 天國」創業133年(1885年/明治18年) 「むさしや」創業133年(1885年/明治18年) 「煉瓦亭」創業123年(1895年/明治28年) 「黒船亭」創業116年(1902年/明治35年) 「松本楼」創業115年(1903年/明治36年) 「ぽん多本家」創業113年(1905年/明治38年) 「みますや」創業113年(1905年/明治38年) 「松栄亭」創業111年(1907年/明治40年) 「末げん」創業109年(1909年/明治42年) 「ビアホール ランチョン」創業109年(1909年/明治42年) 「小春軒」創業106年(1912年/明治45年) |
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1900年代~ | 大正 たいしょう 1912年-1926年 |
「並木藪蕎麦」創業105年(1913年/大正2年) 【浅草】蕎麦屋店(ざるそば)
「巴家」創業94年(1919年/大正8年) ※大正12年、関東大震災で東京は焼け野原と化しました。 |
昭和 しょうわ 1926年-1989年 |
「梅林」創業91年(1927年/昭和2年) 【銀座】とんかつ店(カツ丼、とんかつ)
「チョウシ屋」創業91年(1927年/昭和2年) 「資生堂パーラー」創業90年(1928年/昭和3年) 「たいめいけん」創業87年(1931年/昭和6年) 「銀座 スイス」創業71年(1947年/昭和22年) 「鳥ぎん 銀座本店」創業67年(1951年/昭和26年) 「銀座イタリー亭」創業65年(1953年/昭和28年) 「銀之塔」創業63年(1955年/昭和30年) 「葡萄屋」創業59年(1959年/昭和34年) 「はと屋」創業56年(1962年/昭和37年) 「舞浜」創業50年(1968年/昭和43年) |
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平成 へいせい 1989年-2018年 |
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※2018年(平成30年)2月現在
いかがでしたか?
興味のある老舗料理店はみつかりましたか?
今も続いている老舗店って、すごい
老舗料理店の魅力は長い年月の間のれんを守り続け、たくさんのお客さまに愛されたその店自慢の名物料理(メニュー)ではないでしょうか。
「玉ひで」の親子丼、「精養軒」のハヤシライス(ドミグラスソース)、「煉瓦亭」のポークカツレツや元祖オムライス、「むさしや」のナポリタン、「資生堂パーラー」のビーフシチューなど、そのお店に行ったらコレ!というメニューがありますね。
料理がまずかったり手抜きだったり、なにか問題を起こしたりすれば、たちまち悪評が立ち消えていってしまう飲食店もたくさんあると思います。数百年もの間のれんを守り続けてきたということは、そのお店が味やこだわりだけでなくさまざまな面で優秀だからだと思うのです。
また、優秀なだけではなく、時には「運」も味方につけたのでしょう。
長い年月の間には天災や戦争、後継者問題や事件などさまざまな事が起こるわけです。
例えば、大正12年に起きた関東大震災は、想像を超える甚大な被害を出し東京も火災で焼け野原と化した場所が多数ありました。この地震で失われた老舗料理店や歴史的建造物は相当数あると思われます。
さらに、天災だけでなく幾度かの戦争もありましたので、そんな激動の歴史をくぐり抜けて今もなお営業し続けているということは、ものすごい事だと思うわけです。
また、年表の一番上にある、370年間続いている「王子扇屋」の厚焼き卵は一子相伝でその味をずっと後世に伝え続けて今に至るわけです。(※「王子扇屋」は元は料亭だったそうです。)料理人たちの「受け継いでいく」プロ根性もすごいですよね。
私はそんな時代背景を学びつつ老舗店を訪れるのが好きです。
そして、美味しいものを食べ歩くのが大好きなのですw